スタートアップ vs ソリッドベンチャー:成功確率はどちらにある?

2024.10.21

筆者:エンジェルラウンド株式会社 大越匠

ハイライト

  • スタートアップは高リスク高リターン、ソリッドベンチャーは安定収益を目指すモデル
  • スタートアップはユニコーンを目指す魅力とリスクがある
  • ソリッドベンチャーは収益性と安定性を重視し、持続可能な成長を目指す
  • 試行錯誤の方法として、スタートアップは「全力投球」、ソリッドベンチャーは「少しずつ積み重ねる」アプローチ
  • スタートアップは成長のスピード重視、ソリッドベンチャーは長期的な安定性重視の違いがある

成功率の差とは?―スタートアップとソリッドベンチャーの比較

スタートアップとソリッドベンチャーは、そのビジネスモデルや成長戦略に大きな違いがあります。スタートアップは急速な成長を目指し、外部からの資金調達や市場シェアの拡大を重要視します。しかし、その成長過程には高いリスクが伴い、成功するのはごく一部の企業です。ユニコーン企業という憧れの存在もありますが、実際にそれを達成するのは非常に困難です。

一方、ソリッドベンチャーは、安定した収益を確保しながら事業を進めることを目指します。まずは既存の収益源を構築し、それを基盤に新たな挑戦を行います。このアプローチにより、企業の安定性を保ちながらも成長の可能性を広げることができます。成功確率の観点から見ると、リスクを抑えたビジネスモデルであるソリッドベンチャーの方が、堅実に成功を目指すには適しています。

スタートアップの魔力―ユニコーンへの誘惑

スタートアップの魅力は、その急成長と市場を席巻する可能性にあります。ユニコーン企業と呼ばれる、評価額10億ドルを超える企業になることを目指すスタートアップも少なくありません。そのためには、急速な成長を促すための多額の資金調達が必要であり、しばしば収益化を後回しにしてでも市場シェアの拡大を優先します。この「成功すれば大成功」という姿勢は非常に魅力的で、特に起業家たちはその魔力に引き寄せられがちです。

しかし、この戦略には大きなリスクが伴います。急激な成長を目指すことで、チームへのプレッシャーが増大し、結果的に組織が崩壊するケースも少なくありません。また、収益化が遅れることで資金繰りが悪化し、倒産のリスクも高まります。ユニコーンを目指す挑戦は、魅力的である反面、慎重な判断が求められるのです。

ソリッドベンチャーの魅力―積み上げていく成功

ソリッドベンチャーの最大の魅力は、安定した収益を確保しながら成長できる点にあります。まずは小さな成功を積み重ねることで、ビジネスの基盤を築き、それを元に徐々に成長を図ることができます。このプロセスにより、企業は外部からの資金に依存することなく、自らの収益で次の投資を行うことができます。これにより、ビジネスの独立性を保ちながらも持続的な成長を実現できます。

また、安定した収益基盤を持つことで、事業を通じて得られる学びや改善の機会が増え、より確実な成長を目指すことが可能になります。ソリッドベンチャーは、長期的な視点でビジネスを見据え、社会的な信頼も得やすいモデルです。この堅実なアプローチは、急激な成長よりも確実に成果を積み上げたい起業家にとって、非常に魅力的です。

試行錯誤という言葉の意味の違い―全力か積み金での成長

スタートアップとソリッドベンチャーでは、「試行錯誤」の意味が異なります。スタートアップは、全力を投入して一気に成長を目指すアプローチを取ります。市場における急速なシェア拡大を狙い、多くの資源を投入し、短期間で結果を出すことが求められます。この全力投球のアプローチは、成功した場合に大きなリターンを生みますが、失敗した場合のリスクも大きく、次のチャレンジに影響を及ぼすことがあります。

一方で、ソリッドベンチャーは、少しずつ積み重ねながら成長していくスタイルを取ります。収益を確保しながら、次のステップへ進むための試行錯誤を繰り返すことで、リスクを抑えつつ成長を続けることができます。この「積み金での成長」のアプローチは、失敗の影響を最小限に抑えながらも、確実に次の成長を目指すことができるため、より持続的なビジネス運営が可能です。

まとめ

スタートアップとソリッドベンチャー、それぞれのビジネスモデルには異なる強みとリスクがあります。急成長を目指すスタートアップの魅力と、安定成長を重視するソリッドベンチャーの魅力、どちらを選ぶかはあなたの価値観やビジネスの目的次第です。