株式会社Wiz

事業内容

個人パートナー事業、法人パートナーDX事業、マンションDX事業、地域向けDX事業、HR事業、M&A事業

代表取締役社長

山崎 俊

早稲田大学理工学部に入学後、すぐ大手通信商社にアルバイト入社。大学在学中に同社へ部長として入社し、最年少で執行役員にまで登り詰める。2012年の30歳になったタイミングで独立し、Wizを設立。

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2024.11.25

「ソリッドベンチャーとしての株式会社Wiz」著者の視点

株式会社Wiz(以下、Wiz)がどのように自己資金を基盤とした堅実かつ持続的な成長を遂げているかを分析します。

法人向けIT商材販売というコア事業からスタートし、幅広い事業領域へ拡大を遂げるまでの歩みや、創業者の独自性・経営理念がどのように企業の多角化を支えてきたのかを探っていきましょう。

ソリッドベンチャーとは

「ソリッドベンチャー」とは、外部からの大規模なエクイティファイナンス(ベンチャーキャピタルなどによる出資)に依存せず、自己資金や事業収益を再投資する形で成長していくベンチャー企業を指すことが多い概念です。

  • VC投資を受け入れて短期的に高い成長を目指すスタートアップが多い中、ソリッドベンチャーは経営方針の独立性を維持しながら、じっくりと事業を拡大していきます。
  • 大きな外部資金注入がない分、キャッシュフロー重視の堅実経営が求められますが、その一方で株式の希薄化を防げるなど、長期的視点に立った経営戦略を実行しやすいというメリットがあります。

株式会社Wizは、創業当初から外部資本に頼らず事業を拡大してきた点で、この「ソリッドベンチャー」としての特徴を強く持っているといえます。

会社概要と創業者の背景

会社情報

  • 会社名:株式会社Wiz
  • URLhttps://012grp.co.jp/
  • 代表者名:山崎 俊(代表取締役社長)
  • 創業年:2012年4月
  • 創業当初の事業モデル:法人向けにインターネット回線やOA機器などのIT商材を提案し、コスト削減や業務効率化を支援

創業者のバックグラウンド

山崎俊氏は、早稲田大学理工学部入学後すぐに大手通信商社でアルバイトとして働き始めました。そこでビジネスの面白さに触れ、大学在学中にもかかわらず部長や執行役員を歴任するなど、わずか数年でトップクラスのポジションに登りつめます。その後、2012年にWizを設立。若くして経営の最前線を経験し、営業力やマネジメント能力を身につけた山崎氏の実践的なリーダーシップが、Wizの土台を築き上げました。

創業期の事業モデルと成長の背景

創業当初の事業モデル

Wizは設立当初、法人向けIT商材販売を主力事業としていました。具体的には、インターネット回線(光回線やプロバイダサービスなど)やOA機器(複合機、電話機)を企業に提案し、コスト削減や業務効率化をサポートするモデルです。

  • 通信サービス業界は競合が多いものの、法人側には常に通信コストの見直しやITインフラの導入ニーズが存在します。
  • 大手通信事業者は独自の代理店網を有していますが、Wizの強みは「顧客ごとに最適な商材を組み合わせて提案できるコンサルティング力」にありました。

「ITの総合商社」としての方向性を掲げたWizは、顧客企業の課題を丁寧にヒアリングし、ニーズにマッチした通信商材・OA機器・保守サービスをまとめて提供することで、ワンストップで解決するコンシェルジュ的な価値を生み出していきます。

事業成長の要因

  1. 顧客のニーズを捉えた柔軟な提案
    • 大手通信キャリアの代理店として商品の販売に終始するのでなく、複数のメーカーや回線事業者を横断的に扱う強みを活かし、顧客に最適化されたソリューションを提案。
    • ここで培った法人顧客との信頼関係が、その後の新規事業にも活かされる。
  2. 営業力と人材育成
    • 創業者である山崎氏の営業経験が社内に伝播し、社員一人ひとりが営業として高い成果を出せる環境を整備。
    • 人材育成にも力を入れ、成果を上げた社員には積極的に責任あるポジションを与えることでモチベーションを高める社風を構築。
  3. 自己資金を元手にした堅実経営
    • 創業当初から外部資金に頼らず、事業の収益を再投資する形で着実にキャッシュフローを積み上げる。
    • 大掛かりなリスクを取らずに、堅実に販路拡大や商品ラインナップの拡充を行うことで、組織の安定と持続的な成長を両立。

このような経営スタイルは、まさに「ソリッドベンチャー」の特徴を体現しています。

多角化への道:IT総合商社から「DX支援企業」へ

事業の拡大手法

Wizは法人向けIT商材販売の成功を軸に、事業領域を次々と拡大してきました。大きな特徴は、ITをベースにしながら、法人・個人・地域・マンション・M&A・HRなど、多様な領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)をサポートしている点です。

法人パートナーDX事業

  • 企業の業務効率化やIT活用を包括的に支援。
  • 新型コロナ禍でテレワークやオンライン化が加速する中、企業のDXニーズに的確に応えて業績を伸ばす。

個人パートナー事業

  • 従来は法人へのサービス提供が中心でしたが、個人ユーザー向けにもインターネット回線や格安SIM、電力サービスなどを提案。
  • 企業(法人)のみならず「個人のお客様にもITサービスを届ける」という発想で、新たな収益源を確保。

マンションDX事業

  • マンション向けにIoTやセキュリティサービスを提供し、防犯・快適性・利便性の向上を目指す。
  • これまで築いてきたIT商材のノウハウを、住環境にも応用。

地域向けDX事業

  • 地方創生や地域の課題を解決するためのIT活用を支援。
  • 地域社会に根ざしたサービス展開を図ることで、新たな顧客層とマッチング。

HR事業

  • 人材紹介や採用コンサルなど、人材確保に悩む企業をサポート。
  • 自社で培った採用ノウハウを外部にも提供することで、IT企業らしいアプローチで人材課題を解決。

M&A事業

  • 企業の事業継承や売買を支援するM&A仲介なども手掛ける。
  • クライアント企業が成長し、次の段階に進む際の経営戦略の一環としてM&Aをサポートし、長期的パートナーシップを構築。

本業からの新規事業への展開

このようにWizは、IT商材販売で培った営業力・顧客基盤・ノウハウを最大限に活かし、多角化を進めています。単なる代理店ビジネスに留まらず、企業のDX推進という大きなテーマを掲げることで、新しい領域にもスムーズに進出できるわけです。

  • 法人顧客であれば、OA機器導入や通信回線だけでなく、各種ITシステムやDXソリューションまで幅広く提案。
  • 個人顧客向けにも、回線や電力サービスから住環境向けのIoTサービスまで多彩に提供できる。

これらの多角化のベースには、山崎俊氏が早くから「ITの総合商社」として事業展開を掲げてきた戦略があるといえます。

ソリッドベンチャーとしての特徴

外部資金を利用しない独立経営

Wizは創業当初から一貫して自己資金で事業を拡大しており、エクイティファイナンスによる外部からの大きな資本導入は行っていません。

  • この方針により、経営の独立性が維持され、株主や投資家からの短期的なリターン要求に左右されずに済みます。
  • また、企業理念である「ヒトと企業の課題をITで解決する」を軸に、長期的な事業開発と人材育成の施策を進めやすい環境が整っています。

キャッシュフローを重視した事業運営

IT商材販売事業は、売上が比較的安定的に積み上がるビジネスモデルです。大手通信キャリアやOA機器メーカーとの取引では、契約数や維持手数料などを主軸に収益が計上されることが多いものの、競合も多いため、営業力とサポート力が不可欠となります。

  • Wizはこの営業・サポート力を磨き上げ、キャッシュフローを堅実に確保してきました。
  • その利益を再投資し、新規事業(例:DX支援やHR事業など)を立ち上げるサイクルを回すことで、企業としてのポートフォリオを拡大しています。

人材育成・組織づくり

ソリッドベンチャーとしての成功には、人材確保と育成が欠かせません。外部資金に頼らない分、社員一人ひとりの生産性やモチベーションが企業成長の大きなカギとなります。

  • Wizは、若手に早期から裁量権を与え、成果を出せばポジションや報酬で評価する成果主義的な側面を導入しつつ、組織全体として「ITで課題を解決する」という共通のビジョンを共有。
  • これにより、社員が自発的に新しいプロジェクトを推進し、会社の多角化に貢献する土壌が醸成されています。

事業多角化の成功要因

WizがIT商材販売から始まりながらも、多岐にわたる事業を立ち上げて成功している要因を整理すると、以下の点が挙げられます。

  1. コアコンピタンスの明確化
    • 「ヒトと企業の課題をITで解決する」というビジョンにより、ITを軸にした課題解決型のビジネスを展開。
    • 初期からの営業・コンサルティング能力や、法人顧客とのリレーションが、新規事業の参入障壁を下げる原動力となった。
  2. 強固な顧客基盤
    • 法人向けIT商材販売で蓄積した数多くの顧客リストと信頼関係が、DX事業やHR事業、M&A事業などへアプローチする際の入り口に。
    • 既存顧客へのクロスセル(関連商材の追加提案)やアップセル(上位サービスの提案)によって、効率的に売上を拡大。
  3. 素早い市場対応力
    • コロナ禍でテレワーク需要が急拡大した際にも、リモートワーク支援サービスやDX推進ソリューションを迅速に提案できた。
    • また、電力自由化や働き方改革といったトレンドにも積極的に乗り、個人向け電力販売やHR支援に進出するなど、世の中の変化に合わせた事業開発が可能。
  4. 独立経営による長期的視点
    • 外部資本を入れないため、短期的な利益最大化よりも、中長期的な企業価値向上を優先できる。
    • 組織体制や人材にしっかり投資し、周辺領域への多角化に時間をかけて取り組むことができた。

株式会社Wizは、外部資金に依存しない「ソリッドベンチャー」として、創業以来一貫して自己資金ベースで事業を拡大してきました。

初期は法人向けIT商材販売に注力しつつ、その顧客基盤や営業力を活かして複数の新規事業に参入。結果として、個人パートナー事業、法人向けDX支援事業、マンションDX、地域DX、HR事業、M&A事業など、多岐にわたる領域で事業を展開しています。

同社の多角化は、「ヒトと企業の課題をITで解決する」というビジョンのもと、ITをコアとしたソリューション提供にフォーカスしていることが成功要因として挙げられます。

法人・個人を問わず、あらゆる顧客の課題解決に向けて独自の営業ノウハウや商品ラインナップを構築し、堅実なキャッシュフロー経営を継続。これこそがソリッドベンチャーとしての強みです。

今後、DX需要の高まりや、人材不足の深刻化といった社会環境の変化に合わせて、Wizのサービスはますます求められる可能性が高いでしょう。

創業者・山崎氏のリーダーシップと、社員が主体的に挑戦できる企業文化を活かしていくことで、同社は多角化をさらに推し進め、IT総合商社の枠を超えた総合DX企業へと進化していく可能性を秘めています。

ソリッドベンチャーとしてのWizの歩みは、外部資金に左右されず自社のコアバリューを貫きながら、時代のニーズを捉えて確実に事業を拡げていく見本とも言えるでしょう。

創業からわずか10年余りで成し遂げたこの急成長の背景には、ITや通信といった成長分野を狙いながら、継続的なキャッシュフロー創出と人材育成によって企業価値を高め続ける経営戦略が存在しています。今後のさらなる展開にも注目が集まる企業です。