株式会社ALL CONNECT

事業内容

販売代理業、MVNO事業、EC/メディア事業、地域振興事業

代表取締役社長

岩井 宏太

1982年岐阜県生まれ。福井工業大学在学中、アルバイト先の通信回線の販売で、社会人を含む営業マン100人の中でトップの成績を残す。大学卒業した2005年に起業。オールコネクトが販売している通信回線の契約数は、大手家電量販店を超える実績で取次件数は日本トップクラス。現在、連結売上高450億を超える企業に成長。2024年4月には創業20期を迎える。近年では通信事業以外にも幅広く事業展開し、「社会をにぎやかに」の企業理念の下、福井をにぎやかにするべく、地域振興事業にも注力している。

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2024.11.21

「ソリッドベンチャーとしてのALL CONNECT(オールコネクト)」著者の視点

スタートアップやベンチャー企業の中には、大規模な投資を受けて急拡大を狙うものがある一方、自社の事業収益や小規模の自己資金を活用して堅実に成長する「ソリッドベンチャー」タイプの企業も存在します。

ソリッドベンチャーの特徴は、景気や市場環境の変化にも柔軟に対応しつつ、キャッシュフローを自律的に生み出して、それを再投資することで地に足の着いた事業拡大を行うことにあります。大規模な赤字やハイリスクな投資を抑え、安定基盤+徐々に積み上げる手法をとるため、長期的に見て持続性の高い成長を遂げることが多いわけです。

今回取り上げる 株式会社ALL CONNECT(オールコネクト) は、インターネット回線の取次事業からスタートし、国内トップシェアを獲得後、MVNO(仮想移動体通信事業者)やEC、メディア運営、さらには地域振興事業と幅広く多角化を続けている企業です。

本社は福井県に所在しながら、通信やインターネットビジネスを軸に全国展開を行い、「社会をにぎやかに!」という企業理念のもと独自の存在感を放っています。

オールコネクトがどのようにソリッドベンチャーとしての成長を実現してきたのか、創業期からの歩みや主要戦略を以下で掘り下げていきます。

会社概要と創業の背景

会社情報

  • 会社名:株式会社ALL CONNECT
  • URLhttps://all-connect.co.jp/
  • 代表者名:岩井 宏太(代表取締役社長)
  • 設立:2005年4月

本社は福井県福井市にあり、通信インフラサービスを軸に全国的な事業を展開。加えてMVNO、EC/メディア、地域振興など多岐にわたる領域を手掛けています。

創業当初の事業モデル

ALL CONNECTは、2005年4月の創業から一貫してインターネット回線の販売代理店事業をメインにしてきました。当時まだインターネット回線の普及段階にあり、光回線などのブロードバンド化が急速に進む中で、回線契約の取り次ぎを行う企業が多く立ち上がっていました。

創業者である岩井宏太氏は、大学在学中のアルバイトで通信回線の販売に携わり、学生ながらプロの営業マンを含む100人超の中でトップの成績を収めたといいます。ここで得た自信と通信業界の可能性への確信をもとに、大学卒業後すぐに起業というかたちでオールコネクトを設立。

学生時代に培った“圧倒的な営業力”とインターネット通信分野への深い理解が、この起業の原動力となったわけです。通信回線取次の世界は競合が激しいものの、当時はブロードバンドや光回線への切り替え需要が大きく、優れた営業組織やカスタマーサポートを確立できれば安定した収益が望める市場でした。

ソリッドベンチャーとしての成長戦略

1. 自己資金ベースで始め、拡大のタイミングを見計らう

創業当初から、外部資金調達の大きな情報が公開されていないことから、オールコネクトは自己資金あるいは少額の融資で事業をスタートさせ、キャッシュフローを増大させながら拡大していった可能性が高いです。

通信回線の販売代理事業は、成功報酬型で利益率を一定程度確保できるという特徴があります。顧客が新規契約を結べば取次手数料が入る仕組みで、しかもインターネット回線は生活や仕事に不可欠になっていく時代背景もあり、契約数を積み上げることで比較的堅実に売上を伸ばしていくことができます。

ソリッドベンチャーの特徴の一つは、「安定収益の中核事業をまず確立し、そこで得た利益を使って周辺領域に投資する」点です。オールコネクトも、最初は回線取次で安定キャッシュを稼ぎ、それを後のMVNOやEC事業の立ち上げに投じるという戦略をとっていると推察されます。

2. 回線取次で国内トップシェアへ

インターネット回線取次事業を伸ばすにあたっては、営業力やカスタマーサポート体制の強化が重要です。創業者の岩井氏が持つトップセールスとしてのノウハウを企業全体に浸透させ、さらに新たな人材を採用・教育することで、短期間で「国内トップシェア」といわれるまでの規模に成長。

一度獲得した顧客がインターネット回線を解約しない限り、事業者側(通信キャリア)からの継続的な報酬を得られることも考えられます。もちろん、契約ごとにインセンティブが発生するのみで継続的には入らない代理店形式もありますが、ともあれ取次実績が増えれば増えるほど安定した売上が見込めるビジネスモデルという点に、ソリッドベンチャーらしさが見られます。

3. MVNO事業やEC/メディア、さらに地域振興へ

回線取次で築いた顧客基盤や通信に関するノウハウを活かし、オールコネクトはMVNO事業にも参入しました。特に自社ブランド「モバレコAir」などを展開し、独自の通信サービスを提供。これにより、単なる代理店手数料ではなく、自社プロダクトとしての収益を得るモデルを構築し始めた点が注目に値します。

さらに同社は、EC/メディア事業、地域振興事業などにも積極的に乗り出し、「社会をにぎやかに!」という理念を実行すべく、福井県のプロバスケットボールチーム「福井ブローウィンズ」の運営や「ONE PARK FESTIVAL」の開催など、地域活性化にも寄与しています。

これは、ソリッドベンチャーとして長期的に地元経済との連携を深め、企業価値を多方面で高める戦略とも言えます。通信事業の収益を使って地域活動を支援することで、社会とのつながりを強化しているのです。

多角化と新規事業の要因

1. 通信ビジネスで培ったリソースとブランド力

ビジネスで一番難しいのは0→1の立ち上げと、1→10の拡大段階における資金繰りです。オールコネクトは創業期のインターネット回線取次によって安定的なキャッシュを稼ぎ、徐々にMVNOやメディアなどの新しいチャレンジに踏み出しました。

多角化に成功するための大きな要因は、既存事業でのリソースを新規事業と共有しやすいかどうかです。通信顧客のデータや問い合わせ対応のノウハウ、あるいは顧客マーケティングの知識を、MVNOやECに活用できるため、まったくの異業種参入とは異なり比較的スムーズに事業を広げられます。

2. ユーザー視点のEC/メディア事業

同社は「ネットのミカタ。」といったWebサイトを運営し、ユーザーに通信に関する情報を提供しています。これは、回線選びやスマホ・ネット関連の契約に悩むユーザーのための情報メディアであり、広告収入やアフィリエイトにつながる可能性を秘めています。

ソリッドベンチャー視点で見ると、こうしたメディア運営は自社のコア顧客となり得る人々との接点作りにもなり、コストをかけずにリードを取り込みやすい点が利点です。メディアへの集客が増えれば、主力のMVNOや回線取次との相互送客も可能になるため、自社エコシステムが出来上がっていくわけです。

3. 地域貢献を通じた企業イメージ強化

新規事業の一環として取り組む「地域振興事業」は、短期的に大きな利益を生まないかもしれませんが、「社会をにぎやかに!」という企業理念と親和性が高く、社内外へのポジティブなメッセージを発信できます。

プロバスケチームや音楽フェスといったイベント運営は、地元を巻き込みながら地域経済を活性化する効果を生むため、行政や地元企業との連携にも好影響をもたらすでしょう。これにより地域での人材確保や認知度アップが期待できるなど、長期的に見ると企業体力を底上げするメリットをもたらします。

市場と地域性

1. 通信インフラ市場の競合とチャンス

通信分野は大手キャリアが主導権を握っているイメージがありますが、インターネット回線の販売代理やMVNO分野においては多様なプレイヤーが参入可能で、適切な営業戦略をとればまだまだ成長の余地があると考えられています。

オールコネクトは、その分野で国内トップレベルのシェアを獲得し、さらには自社ブランドを持つことで付加価値を高めている。

市場としては価格競争や技術変化のスピードが速い反面、ネット回線やモバイル通信は人々の生活と企業活動になくてはならないインフラとなっているため、一定の安定需要がある点が強みです。

2. 福井県発の全国・海外への展開可能性

本社所在地の福井県は、ITベンチャーがさほど多くない地域かもしれませんが、逆に地元での知名度や経営資源を集約し、コストも大都市ほど高くないメリットがあります。すでに同社は全国対応を進めており、将来的には海外MVNOやグローバルEC展開などの選択肢も視野に入る可能性があります。

ソリッドベンチャーの特徴として、いきなり大きな海外拠点を作るのではなく、まず日本国内での事業をしっかり固めてから少しずつ海外に乗り出すアプローチが適しており、オールコネクトもその路線をとると見られます。

失敗事例や課題から見る今後の展望

1. 競争の激化と新技術への対応

通信インフラ市場やMVNO領域は、技術革新が絶え間なく進み、また顧客が乗り換えをするハードルも低くなりつつあります。

差別化を続けるためには、常に新サービスを開発・投入したり、料金体系やサポート体制を改善する必要があります。ソリッドベンチャーとして、売上から得た利益を再投資しながら、地道にサービスを磨き続ける姿勢が重要になるでしょう。

またEC/メディア事業においても、SEOや広告のトレンド変化が著しく、運営ノウハウをアップデートしないと集客が難しくなるため、技術革新と市場の変化への迅速な対応が求められます。

2. 多様事業のシナジー最大化

既に複数の事業ドメインを持つオールコネクトですが、その分、組織内でのコスト管理や人材配置が複雑になる可能性があります。ソリッドベンチャーの利点は、大規模な外部調達をして無理矢理成長させるのではなく、各事業で生まれた利益を次の事業に回す安定拡大路線をとれる点です。

とはいえ、あらゆる事業に同時にリソースを注ぐとリスクが分散してしまい、どれも中途半端になる恐れも。より大きな飛躍のためには、例えばMVNOとEC/メディアがどう連携しユーザーを増やせるか、地域振興がどのように新たなファンベースやビジネス創出につながるか、といったシナジー発想を深める必要があるでしょう。

失敗や試行錯誤を繰り返しながら最適解を探り続けることで、各事業の連動による相乗効果を最大化できるのではないでしょうか。

3. 人材確保と育成

急成長企業にとっての永遠の課題は人材です。ITや通信、ECなど多角化を進めるほど必要なスキルセットは多彩になります。ソリッドベンチャーとして、利益の範囲内で安定的に人を採用し、教育していくことで質の高い組織をつくることが、長期的な成功につながります。

地域振興事業や地方発のベンチャーという特色を活かし、地域の大学や専門学校との連携や、地元人材の積極登用など、独自の採用手段を講じることも考えられます。

創業者自身の学生時代の起業経験が、人材育成モデルに反映されれば、オールコネクトならではの企業文化が育つでしょう。

ALL CONNECTに学ぶソリッドベンチャーの姿

株式会社ALL CONNECTの事例から見えてくるソリッドベンチャーの特長は以下のとおりです。

  1. 創業期:自己資金+営業力で確実に稼ぐ
    • インターネット回線取次事業という利益を見込みやすい市場に注力。
    • 創業者の圧倒的な営業経験を組織全体に展開し、早期に国内トップシェアを狙う。
  2. 安定収益を元に周辺事業に拡大
    • MVNO事業へ参入し、自社ブランド「モバレコAir」などを立ち上げてサブスク的収益を育成。
    • EC/メディア事業でユーザーとの接点を増やし、新規顧客や広告収入を得る。
    • 地域振興事業で社会的価値・ブランドイメージ向上を図り、地域と共に発展するモデルを構築。
  3. 外部資本に頼らず、ソリッドかつ長期的に事業展開
    • 大きなファイナンスニュースがないため、自己資金や内部留保から着実に投資。
    • その結果、無理のない成長カーブを描きつつ、突発的な市場変動にも耐性を持つ企業体制を実現。
  4. 失敗を糧に事業と組織を強化
    • 通信業界やECの急速な技術進化に対応しながら、失敗や課題を吸収し、改善を重ねる。
    • 多角化した各事業間のシナジーを生み出し、顧客満足と売上増を狙う。
  5. 地域拠点から全国へ、さらなる可能性
    • 福井県を拠点にしつつ全国展開。
    • 地域振興や教育機関との連携を通じて、人材確保や企業イメージ向上を実現。

オールコネクトの軌跡は、地方発の通信ベンチャーがどのようにして国内規模で事業を伸ばし、さらに多様な分野に展開するかの一つの成功例と言えます。

同社が「社会をにぎやかに!」という理念を掲げ、インフラの提供だけでなく地域社会の活性化にも取り組む姿勢は、ソリッドベンチャーの持続的な企業哲学がうかがえます。

外部資金に過度に依存せず、まずは回線取次のキャッシュで盤石な基盤を築き、さらにMVNO、EC、メディア、地域振興へと自然に広げていく手法は、短期的な爆発的成長を狙わない代わりに、組織と事業を安定的に成長させるメリットをもたらしています。

今後、競争が激化する通信分野やDX領域で、ALL CONNECTがどこまで多角化のシナジーを生かし、地域とともに発展を続けるかが注目されるでしょう。ソリッドベンチャーとしての在り方を学ぶ上で、同社の事例は非常に示唆に富んでいます。