株式会社エフ・コード

事業内容

「CODE Marketing Cloud」等のCX向上SaaSの提供、DX戦略設計・実行支援、デジタルマーケティング支援

代表取締役社長

工藤 勉

東京大学在学中に経営コンサルティング会社に参画。ベンチャー企業支援や大企業向けプロジェクトに従事。その後、自動車学校のポータルサイト運営会社に役員として参画。2006年、株式会社エフ・コードを創業しデジタルマーケティング支援を開始。2013年よりSaaS事業を開始。

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2024.11.25

「ソリッドベンチャーとしての株式会社エフ・コード」著者の視点

株式会社エフ・コード(以下、エフ・コード)がどのようにして自己資金と外部資金のバランスを取りながら成長を遂げてきたか、またどのような戦略やサービス展開によってデジタルマーケティング領域からSaaS事業・DX支援へと多角化を進めているのかを分析してみます。

エフ・コードの創業背景や現在に至る事業発展の流れを振り返ると同時に、「ソリッドベンチャー」としての要素をどのように持ち合わせているかを考察していきましょう。

ソリッドベンチャーとは何か

まず、「ソリッドベンチャー」について簡単に整理します。

  • 一般的にスタートアップやベンチャー企業は、高い成長目標を掲げ、短期間で事業を拡大するためにベンチャーキャピタル(VC)などから大規模な外部資金を調達しがちです。
  • しかし、「ソリッドベンチャー」は、自己資金や創業事業の売上をもとに安定したキャッシュフローを確保し、外部資金に過度に依存せずに持続的成長を実現する企業を指す場合が多いです。
  • そのため、ソリッドベンチャーには、経営の独立性やリスク管理のしやすさ、長期視点での事業投資を行いやすいという特徴があります。大きな資本に左右されにくい一方で、資金調達における選択肢は限られる可能性があるため、創業期からの綿密なキャッシュフロー管理が求められます。

エフ・コードの場合、後述のように一定の外部資金調達を実施しているため、純粋な意味で「完全自己資金のみで拡大」というわけではありません。

しかし、創業当初は自己資金で事業を開始し、その後も売上を伸ばしながら段階的に資金を調達し、さらに上場も果たしている点で、「ソリッドベンチャー的な要素」を持つ企業の一例と言えます。

言い換えれば、自己資金ベースでの安定経営を軸にしながら、必要に応じて外部資金を活用するハイブリッド型と位置付けることができるかもしれません。

エフ・コードの創業期と事業モデル

会社情報

  • 会社名:株式会社エフ・コード
  • URLhttps://f-code.co.jp/
  • 代表者名:工藤 勉(代表取締役社長)
  • 創業年:2006年

エフ・コードは2006年の創業以来、デジタルマーケティング支援事業を主軸として事業拡大を行ってきました。代表取締役社長の工藤 勉氏は、東京大学在学中に経営コンサルティング会社に参画し、多様な業種のプロジェクトに携わったのち、自動車学校のポータルサイト運営会社の役員として事業運営を経験しました。こうした若い段階からの豊富なビジネス経験を通じて、デジタルマーケティングの重要性やビジネスチャンスを強く感じ、自らエフ・コードを創業したとされています。

創業当初の事業モデル:デジタルマーケティング支援

エフ・コードの創業当初は、SEO/SEM、Web広告運用、アクセス解析などを中心としたデジタルマーケティング支援事業が主力でした。顧客企業のWebサイト集客や売上向上に寄与する施策を総合的にコーディネートし、それが大きな信頼と実績へとつながっていきます。

以下の要因が創業期の成長を下支えしたと推測されます。

  1. デジタル化の波を捉えた時代性
    2000年代中頃から企業のWeb活用が急速に広がっており、SEO対策やリスティング広告などが注目され始めた時期にあたる。
  2. 代表個人の経験とネットワーク
    経営コンサルティング会社やポータルサイト運営会社での経験から、事業運営のノウハウやネットワークを確立。これが顧客獲得やプロジェクト推進にプラスに働いた。
  3. 自己資金ベースでの着実なキャッシュフロー管理
    当初は大規模な資本調達よりも、受託型のビジネスモデルで安定した売上を積み上げることで、リスクを抑えながら事業拡大を図ることができた。

成長戦略と資金調達

事業の拡大手法:SaaS事業への参入

デジタルマーケティング支援で培ったノウハウを活かし、エフ・コードは2013年からSaaS事業を展開し始めました。この時期、マーケティング自動化(MA)ツールや顧客体験(CX)向上ツールが海外を中心に普及し始めており、日本市場においても導入ニーズが高まっていました。

エフ・コードはこうした潮流を的確に捉え、独自のSaaS製品である「CODE Marketing Cloud」を開発・提供するようになります。

「CODE Marketing Cloud」は、Webサイト上での顧客行動分析やパーソナライゼーション、ポップアップなどの施策を一括管理し、ユーザー一人ひとりに最適な体験を提供することでCVR(コンバージョン率)向上を目指すSaaSです。

これにより、受託型ビジネス(コンサル・代行)からストック型ビジネス(SaaS) へと収益構造を進化させ、安定的な売上を積み上げるモデルへシフトしていきました。

外部資金調達と上場

エフ・コードは創業当初から一定の事業収益を積み上げ、自走型で成長してきましたが、2018年4月のシリーズAでは、マイナビやオークファンなどの引受先から第三者割当増資を実施し、さらに日本政策金融公庫の資本性ローンも活用して調達しています。

ソリッドベンチャー的観点

外部資金を導入することで、さらなる研究開発やマーケティング強化、人材採用へ資金を投下し、SaaS事業の拡大スピードを加速させる狙いがあったと推測されます。

一方、自己資金でのキャッシュフロー管理を重視するソリッドベンチャーの要素と、積極的な資金調達による飛躍的成長を目指すスタートアップの要素をバランスよく併せ持っている点がエフ・コードの大きな特徴です。

事業の多角化と新規事業の開発

SaaSプロダクトからDX支援へ

本業のデジタルマーケティング支援で獲得した顧客基盤と、SaaS事業で蓄積したクラウド技術・データ活用ノウハウを組み合わせ、エフ・コードはDX戦略設計・実行支援サービスにも乗り出しています。

企業のデジタル変革(DX)は、単なるシステム導入やマーケティングオートメーションにとどまらず、事業全体のプロセス改革や新規事業立ち上げなど広範囲に及ぶのが特徴です。エフ・コードはこうしたニーズに応えるために、下記のようなアプローチを取っていると考えられます。

  1. DX戦略コンサルティング
    企業がDXを推進するうえでの課題やロードマップを整理し、必要なソリューションを提案。
  2. 自社SaaSとの連携
    「CODE Marketing Cloud」をはじめとするSaaS製品を活用し、実務レベルでのDXを実現。
  3. 開発リソースの提供
    必要に応じてシステム開発やデータ分析といったITリソースを提供し、DX施策を支援。

このように自社プロダクトとコンサルティングを組み合わせることで、付加価値の高いサービスを提供できる点が強みとなっています。

デジタルマーケティング支援の深化

DX支援と並行して、元々のコア事業であるデジタルマーケティング支援も引き続き展開しています。Web広告、SEO、アクセス解析などの伝統的なデジタルマーケティング手法だけでなく、SaaSツールで得られるデータを活用した高度なパーソナライゼーションやマーケティングオートメーションが実現可能になります。

これにより、従来の広告代理的なビジネスではなく、コンサルティングやシステム導入を含めた包括的な支援にシフトしている点が特徴的です。

事業多角化の成功要因

エフ・コードがデジタルマーケティング支援からSaaS、DX支援へと幅を広げる過程での成功要因として、以下の点が挙げられます。

  1. デジタルマーケティングの専門性
    創業以来の強みとして、Webサイト集客、顧客行動解析、広告運用などに関する高度なノウハウを持ち、顧客企業に具体的な成果を提供できる。
  2. 自社SaaSプロダクトの拡充
    「CODE Marketing Cloud」をはじめとする自社開発のSaaSツールを活用し、コンサルティングだけでなく、ツール提供によるストック型売上を確保。
  3. 顧客ニーズの高まり
    企業のDX化やEC化、オンライン接点の拡大にともない、ユーザー体験向上やデータ活用へのニーズが急増。エフ・コードの提供するサービスが市場の期待に合致している。
  4. 段階的な外部資金導入と組織拡大
    必要なタイミングでの外部資金導入(シリーズA、公募増資など)により、研究開発・人材採用を加速させ、多角化を可能にする組織体制を整えた。

ソリッドベンチャーとしてのエフ・コード

自己資金・事業収益をベースにした成長

エフ・コードは創業当初、自己資金をもとに受託型のデジタルマーケティング支援でキャッシュフローを回しながら事業を安定化させています。ここにソリッドベンチャー的な特徴が表れています。

さらに、2013年のSaaS事業参入後は、ストック型収益を得ることで安定感を強化しました。これは外部出資を大量に受けなくても成長を維持できる仕組みづくりにつながっています。

段階的な資金調達と上場

一方で、2018年以降は外部資金調達と上場を経験し、大きく飛躍しました。「ソリッドベンチャー=一切外部資金を受けない」というわけではなく、必要な時期に必要な規模の資金を得るという選択をした点で、エフ・コードの柔軟性がうかがえます。

また、上場により信用力が向上したことで、大手企業への営業やM&Aなどの新たな成長戦略も可能になると期待されます。ソリッドベンチャーの堅実さと、スタートアップとしてのスピード感を併せ持つ企業として、ユニークなポジションを築いていると言えるでしょう。

リスクコントロールと経営ビジョン

創業者の工藤氏は、コンサルティングやポータルサイト運営など、多方面で経営に携わってきました。その経験から、新たな事業領域に進出するときのリスク評価や撤退ラインの設定など、実務レベルのリスクコントロールをしっかり行ってきたと想像されます。

さらに、デジタルマーケティング領域の専門性からSaaSへ、そしてDX支援へとビジネスを拡張する際も、コアコンピタンスを活かす形でステップを踏んでいることが成功要因と言えます。

エフ・コードは、2006年の創業以来、自己資金をもとに受託型のデジタルマーケティング支援事業で安定収益を築きながら、2013年にはSaaS事業に参入し、その後はDX支援へと事業領域を広げてきました。

初期段階での自己資金経営や収益モデルの確立は、ソリッドベンチャーとしての強みを発揮し、外部資金に過度に依存しない形での成長を可能にしました。

しかし、必要と判断した段階ではVCからの増資や公募増資を行い、研究開発やマーケティング、人材投資を強化してきた点も見逃せません。これは、ソリッドベンチャー的な「堅実性」とスタートアップ的な「成長性」を上手く両立させた戦略であると言えます。

上場後の公募増資は、さらなるSaaS強化やDX領域の拡充、そして海外展開やM&Aといった成長施策へ投じられることでしょう。

今後は、国内外のSaaS市場やDX支援市場で競合が激化するなか、エフ・コードのコアコンピタンス(デジタルマーケティングの専門性)と自社プロダクト(CODE Marketing Cloud)をいかに発展させられるかが鍵となります。

ソリッドベンチャー的な堅実性を持ちつつも、市場変化に対して柔軟に対応できる経営姿勢が、さらなる成長を支える重要な要素になるでしょう。今後の動向に注目が集まる企業の一つです。