株式会社M&A総研ホールディングス

事業内容

M&A仲介事業など

代表取締役社長

佐上 峻作

1991年生まれ。神戸大学卒業。2013年09月 ㈱マイクロアド入社。広告システムのアルゴリズム開発等に従事。2015年11月 ㈱Alpaca(現 ㈱スマートメディア)設立、代表取締役就任。2018年10月 ㈱M&A総合研究所設立。

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2024.11.25

「ソリッドベンチャーとしてのM&A総研ホールディングス」著者の視点

株式会社M&A総研ホールディングスは2018年の創業以来、中小企業のM&A仲介を中心とした包括的なM&Aサービスを提供し、設立からわずか3年で東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たした企業です。

本記事では、同社が歩んできた成長過程や事業多角化のポイント、そしてソリッドベンチャーとしての特徴を詳しく分析します。

ソリッドベンチャーとしての株式会社M&A総研ホールディングス

「ソリッドベンチャー」とは何か

「ソリッドベンチャー」とは、ベンチャーキャピタル(VC)など外部からの大規模投資だけに頼るのではなく、自社の事業収益を再投資しながら持続的に成長していく企業を指します。

多額の外部資金を受け入れないことで経営の独立性を保ちつつ、短期的な利益追求よりも長期的な事業構築を重視できる点が特徴です。

ただし、「ソリッドベンチャー=資金調達を全く行わない」というわけではありません。

成長に応じた外部調達やIPOを実施する場合もありますが、投資家や市場の要求に振り回されず、自社の理念と顧客価値を優先させた経営が行われるケースが多いといえます。

M&A総研ホールディングスのソリッドベンチャー的側面

  • 立ち上げからしばらくは自己資金で事業を運営
    創業者自身の資金と、M&A仲介事業で生み出したキャッシュフローを活用しながら拡大。
  • 事業収益をもとに新規事業を展開
    本業であるM&A仲介が安定収益を生む一方、関連するM&AコンサルやDXサービスなどへも着実に投資。
  • 上場を含む外部資金調達の活用
    2021年に東証マザーズへ上場したり、シリーズAラウンドで調達を行うなど、必要な局面では資金を導入しているが、創業理念を損なわない範囲で行われている。

このように、事業の核となる収益力を維持しつつ、適切なタイミングで外部資金を取り入れる形で成長を遂げている点は、ソリッドベンチャーの特徴に通じるといえるでしょう。

会社概要と創業期の情報

会社情報

  • 会社名:株式会社M&A総研ホールディングス
  • URLhttps://masouken.com/holdings
  • 代表者名:佐上 峻作(代表取締役社長)
  • 設立:2018年10月

創業当初の事業モデル

創業時は、中小企業のM&A仲介業務を核とするビジネスモデルでした。特に、中小企業向けの事業承継やオーナー経営者の事業売却など、企業規模が大きくない領域に焦点を当てたことが特徴です。

M&Aアドバイザリー、バリュエーション(企業価値算定)、デューデリジェンスといったサービスを総合的に提供し、事業の売り手と買い手のマッチングを円滑に進める役割を担っています。

M&Aというと大企業同士の大型案件をイメージしがちですが、実際には後継者不足に悩む中小企業でのM&Aニーズが高まりつつあります。M&A総研ホールディングスはこのトレンドを捉え、独自の仲介ノウハウと専門知識を磨きながら、創業期から急成長を果たしました。

創業者のバックグラウンド

代表取締役社長の佐上峻作氏は、1991年生まれ、神戸大学卒業後、広告配信プラットフォームを展開するマイクロアドに入社してアルゴリズム開発等を担当。その後、2015年に株式会社Alpaca(現スマートメディア)を設立し代表取締役に就任。IT企業でのエンジニアリング経験・起業経験を活かして、2018年にM&A仲介事業へ新たに参入しました。

IT領域からM&A仲介へ

  • マイクロアドでの広告システム開発:アルゴリズムやデータ分析技術を学ぶ
  • スタートアップ創業者としての経験:市場の流れを読む力や資本政策の知識を習得
  • M&A業界への挑戦:事業承継問題など社会的ニーズの大きい領域で、自身の経営スキルとテクノロジー知見を活用

このように、IT出身の若手起業家がM&A仲介という比較的アナログな世界にイノベーションをもたらす、というストーリーが大きな注目を集めました。

成長戦略と資金調達

事業拡大の手法

設立後、中小企業向けのM&A仲介で実績を積む中で、グループ会社の設立サービスラインナップの拡充を行ってきたのが同社の大きな特徴です。

M&A総合研究所、M&A DX、M&Aファイナンスなど、多方面から中小企業のM&Aニーズを支援する体制を整備。具体的には以下のような多角化を行っています。

  1. M&A仲介:売り手・買い手の発掘・マッチング、バリュエーション、デューデリジェンスなど
  2. M&Aコンサルティング:経営戦略や事業承継に関するアドバイス、PMI(統合後のマネジメント)支援
  3. DXソリューション:M&A業務の効率化やオンライン化を推進するためのツール開発やシステム構築
  4. 金融サービス:M&Aファイナンスを含む資金調達支援・投資支援

すべてのサービスが「M&Aによる企業の成長支援」に一貫して繋がるため、シナジー効果が期待できます。仲介で得た顧客データや知見をもとに他のサービスを提案し、総合的に企業価値向上をサポートすることで、顧客の生涯価値(LTV)を高めています。

外部資金調達とIPO

ソリッドベンチャーは自己資金と事業収益を軸に成長するのが基本スタンスですが、同社は必要に応じて外部のエクイティファイナンスやIPOを選択しています。

  • プレシリーズAラウンド(2020年6月):1億円
  • シリーズAラウンド(2021年3月):3.5億円
  • 東証マザーズ上場(2021年12月)

上場前に合計4.5億円の資金を調達し、さらに上場で得た資金をサービス開発・人材採用・広告宣伝などへ投下。これにより事業のスケールを拡大させました。

ただし、外部資金調達に依存しすぎることなく、M&A仲介事業の利益をベースとしたビジネスモデルを堅持している点が、ソリッドベンチャーとしての同社の魅力といえます。

事業多角化・新規事業の開発

本業から派生したサービスライン

1)M&Aコンサルティング

仲介業務のみならず、PMI支援(買収後の統合支援)や事業承継計画の策定、さらには業務・経営改善のコンサルティングにも対応。これは、M&A後に混乱しやすい組織統合や事業再編を円滑にするためのサービスです。中小企業経営者にとって心強い存在になり、仲介から継続的に収益を得る仕組みに繋がっています。

2)M&A DX

M&Aには膨大な書類作成やコミュニケーションが必要ですが、オンラインツールやデータルームなどのシステムを開発し、効率化・可視化を進めています。また、新型コロナウイルス以降、対面だけでなくオンラインでの商談やデューデリジェンスが一般化しており、DX推進の重要性は増しています。

3)M&Aファイナンス

企業買収に必要な資金を調達する金融サービスです。買い手企業だけでなく、売り手企業が成長資金として活用できるスキームを提供する場合もあり、M&Aの資金調達に幅広く対応できる点が特徴です。

多角化成功の要因

  • M&A仲介で培ったノウハウと信頼
    企業の経営層との密接なやり取りや交渉を通じて得た深い業界理解やネットワークが、新規事業の立ち上げに大きく寄与。
  • M&Aの一連のプロセスをワンストップで提供
    仲介からPMI支援、ファイナンス、ITツール開発に至るまで包括的に手掛けることで、顧客の利便性とリピート率を高めている。
  • IT出身の経営者によるイノベーション
    代表の佐上氏がIT分野での経験を持つことから、従来アナログ寄りだったM&Aプロセスにテクノロジーを取り入れる発想を強く打ち出せた。

M&A総研ホールディングス×ソリッドベンチャー

株式会社M&A総研ホールディングスは、以下のような要素からソリッドベンチャーの好例といえます。

  1. 自己資金をもとに事業を開始し、M&A仲介という安定収益ビジネスで地固めを行う。
  2. 収益を再投資してM&AコンサルティングやDX、ファイナンスなど関連サービスへ事業多角化
  3. 一定の段階で外部資金(シリーズA)や上場を活用し、成長を加速させるが、経営理念とコア事業を揺るがさないバランスを維持。
  4. デジタル技術やIT知見を活かした新しいM&A手法を提案し、従来の仲介業務と差別化。

結果として、設立から3年後の2021年に東証マザーズへ上場し、その後もグループ会社の増設や新規事業開発を続けています。

M&Aをきっかけに事業承継問題を解決し、「M&Aで、未来を創る。」というミッションを一貫して追求する姿勢は、社会的意義とビジネス成長の両立を目指すソリッドベンチャーの在り方を体現しています。

M&A総研ホールディングスは今後も以下の点が注目されます。

  • さらなるDXの推進:中小企業向けM&Aは、まだまだアナログな商談が主流。オンラインプラットフォームやAIを活用したマッチングなど、効率化が進めば大きな競争力となる。
  • 地方への展開強化:後継者不足が特に深刻な地方企業との連携を強化し、地方自治体や地銀などとの協業モデルを深める可能性。
  • M&A後の継続支援ビジネス:PMIや人材派遣、経営コンサルティングなど、M&A成立後に必要なサポートを充実させ、長期的な売上ストリームを形成。
  • 海外M&Aの支援:日本企業の海外進出や外国企業による日本市場参入が増えれば、クロスボーダーM&Aのニーズも拡大。海外拠点の確保や現地企業との提携も考えられる。

こうした展開を通じて、中小企業の事業承継や成長課題を解決する総合プラットフォームとして進化し続けることが期待されます。

株式会社M&A総研ホールディングスは、M&A仲介の収益を基盤に新規事業やグループ会社を次々と立ち上げ、短期間で上場を果たした注目の企業です。

創業者のITバックグラウンドと起業経験が、従来のM&A業界にはなかった発想と仕組みをもたらし、DXやファイナンスなど多角的なサービス展開に繋がっています。

一方で、急成長に伴う組織管理や競合の増加など課題も山積していますが、それを乗り越えるためのビジョンやガバナンス体制を整備している点も注目に値します。

ソリッドベンチャーとして、自社の収益力と外部資金調達をバランスよく活用しながら、社会的にも高いニーズのある中小企業の事業承継問題を解決する。このスタンスこそが、同社が多くの起業家や投資家から評価されている理由の一つといえるでしょう。

日本経済を支える中小企業の廃業問題をM&Aで救済し、新たな価値創造を生むプラットフォーマーとして、更なる成長が期待される株式会社M&A総研ホールディングス。その歩みは、同時代を生きるベンチャー企業にとっても貴重な示唆を与える事例となっています。