株式会社プログリット

事業内容

英語コーチングサービス、サブスクリプション型英語学習サービス

代表取締役社長

岡田 祥吾

英語コーチングサービス、2014年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。製造業、ヘルスケア業界、金融業界など幅広い業界の企業に向けてコンサルティングサービスを提供。2016年、山碕と共に当社を創業。2020年、Forbes Japanが発表する「30 UNDER 30 JAPAN 2020」に選出。2021年、Forbesが発表する「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」に選出サブスクリプション型英語学習サービス。

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2024.11.21

「ソリッドベンチャーとしてのプログリット」著者の視点

英語学習のニーズは、日本において長らく根強いものがありました。とりわけグローバル化の波が加速するにつれ、多くのビジネスパーソンが「短期間で確実に英語力を伸ばしたい」と願い、様々なスクールやオンラインサービスが乱立する時代に突入しています。

その中で、株式会社プログリット(PROGRIT) は、わずか数年で認知度を大きく高めたパーソナル英語コーチング企業として注目を集めました。

急速にサービスを拡大させ、英語コーチング市場をリードしつつある一方、同社の成長モデルは単なる資本力だけに依存するものではない点も特徴的です。自己資金での立ち上げから、必要なタイミングで外部資金調達を行い、効率的に新規事業を立ち上げる。

まさに「ソリッドベンチャー」と呼ばれる、地に足をつけた堅実な経営手法が垣間見えます。本稿では、PROGRITの創業背景から事業の多角化、そしてソリッドベンチャーとしての特徴を紐解いていきます。

会社概要と創業期

会社情報

  • 会社名:株式会社プログリット(PROGRIT)
  • URLhttps://about.progrit.co.jp/
  • 代表者名:岡田 祥吾(代表取締役社長)
  • 設立:2016年9月

本社は東京都千代田区にあり、英語学習のパーソナルコーチング「プログリット」ならびにオンライン英語学習サービス「シャドテン」などを提供しています。近年は法人向けの研修プログラムや英語学習アプリの開発にも注力し、事業領域を広げつつある企業です。

創業当初の事業モデル:短期英語コーチング

PROGRIT創業のきっかけは、代表取締役社長の岡田祥吾氏 がマッキンゼー・アンド・カンパニー在籍時代に、多くのビジネスパーソンが「英語力不足」によって海外案件やキャリアチャンスを逃してしまう現実を目の当たりにしたことでした。

従来の英語学習(英会話スクールや独学教材など)が効果的でないケースが多いという課題感から、「短期間で成果にコミットするパーソナルコーチングサービス」を発案。こうして2016年9月、まだ英語コーチングという概念自体がめずらしかった頃に株式会社プログリットを立ち上げました。

創業初期は岡田氏自身が蓄積してきた戦略コンサルタントとしての問題解決手法を「英語学習」の領域に落とし込み、各受講生専属のコンサルタントが週ごとに学習計画を提示し、進捗管理やフィードバックを行うという徹底したサポート体制を確立。

受講料金は安くはありませんが、あえて高価格帯にすることで真剣に英語を伸ばしたい人の需要を獲得し、短期集中で成果を出すモデルで一気に注目を浴びることとなります。

ソリッドベンチャーとしての成長戦略

1. 自己資金スタートからの段階的拡大

創業時、PROGRITは自己資金でパーソナル英語コーチングを開始しました。多数の拠点をいきなり用意するわけではなく、まずは東京都内の限られた校舎でサービスを展開し、少人数のコンサルタントを雇用しながら着実に実績を積み重ねていったのです。

受講生が増加するとともにコンサルタントの採用を進め、同時にサービスの質を維持するため、教育体制や研修制度を整備。

口コミやSNSで評判が広がり、それに合わせてオンラインコースや新拠点の開設に投資するという段階的拡大が行われました。ソリッドベンチャーの特徴である「無理な借入や大型投資を避け、利益から再投資していく姿勢」がこの流れから窺えます。

2. 必要なタイミングでの外部資金調達

PROGRITは完全に自己資金だけで成長し続けたわけではなく、事業拡大を加速させる段階で個人投資家などから投資を受け、積極的なマーケティングや新サービス開発に着手しました。

ただし、その動きは大規模な資金調達による赤字拡大を狙うのではなく、あくまで「顧客ニーズに対応した事業領域の拡張」のために行われたものです。

たとえばオフライン拠点を複数都市に展開しようとする段階や、オンライン学習サービス「シャドテン」を本格リリースする段階で外部資金を活用し、開発と集客を強化。

これによって売上を急伸させながらも、日常的な運転資金は受講料金などのキャッシュフローからまかなう形を取り、キャッシュアウトに対するリスクヘッジを怠らない経営を進めています。

3. コミット型ビジネスモデルでの堅実な収益確保

英語学習市場には、月額制のオンライン英会話や週1レッスンの英会話スクールなどが多数存在しています。そうした競合と差別化するためにPROGRITは「2~3ヶ月の短期間で成果を出すプログラム」「専属コンサルタントが伴走し、学習時間の質と量を最適化する」というコーチングモデルを打ち出しました。

このモデルでは、1人の受講生あたり数十万円のコース料金という高単価を設定し、かつ一定期間のコミット型契約となるため、サービス側の利益も安定しやすいメリットがあります。リピート率の高さや口コミ効果で受講生が増えると、校舎やコンサルタント数の拡充が続き、キャッシュフローが着実に潤沢になるのです。

ソリッドベンチャーの基礎的な収益構造として、安定的で単価の高いコアビジネスを確保するのは非常に大事なポイントです。

事業の多角化と新規サービス開発

1. 「シャドテン」などのサブスクリプション型サービス

パーソナル英語コーチングで得たノウハウをもとに、「シャドテン」 というサブスクリプション型英語学習サービスを開発しました。従来の短期集中コースよりも低価格かつオンライン完結を志向しており、ユーザーは専用アプリでシャドーイング(英語音声の後を追う発音練習)をメインに学習しながら、音声添削やフィードバックを受けることができます。

これにより、既存のコーチング受講生だけでなく、より幅広い層のユーザーを取り込むことが可能になりました。パーソナルコーチングで築いた「短期間で成果を出す」というブランドイメージをサブスクサービスにも拡張することで、ビジネス領域の裾野を広げているのです。

2. 法人向け研修プログラムの展開

また、近年では法人向けに英語研修プログラムを提供する動きも顕著です。外資系企業や大手日系企業が海外展開を進める中で、社員の英語力底上げは必須課題となっています。そこでPROGRITが、企業ごとにカスタマイズした研修やオンラインコースを設計し、従業員の英語学習をコンサルタントがサポートする仕組みを提案。

法人契約は大口の受注が見込める一方で、成果を数値化したり社員のモチベーションを管理したりする難しさがあるものの、そこも創業者のコンサルタント経験が強みとして活かされていると言えます。こうしたB2B領域への進出も多角化の一端であり、ソリッドな収益確保につながっています。

3. 技術開発とアプリ活用

PROGRITはテクノロジー面でも積極的に取り組み、英語学習アプリの開発やデータ解析による学習効率化を試みています。受講生の進捗データや発話内容を分析し、AIが最適な学習アドバイスを提示するような仕組みを模索することで、コンサルタント1人あたりが担当できる受講生数の拡大や満足度の向上を図っています。

このようなIT投資にも、資金調達とコアビジネスの収益を適切にバランスさせて充当している点が、ソリッドベンチャーとしての特徴を示しています。急激に赤字を膨らませず、着実に投資回収を見込める範囲での技術開発に取り組む――まさに堅実な姿勢です。

市場と地域

1. 英語学習市場の拡大と競合

日本の英語学習市場は、少子化にもかかわらず「ビジネスで使える英語力が欲しい」という大人世代の需要が旺盛です。またリモートワークの普及や国際会議のオンライン化により、英語でのコミュニケーション能力が一層重要視される風潮が強まっています。

一方、オンライン英会話や英語コーチングの競合サービスが乱立しているため、価格競争や差別化が課題になりがちです。PROGRITは「短期集中で成果を出す」点と「専属コンサルタントによる伴走サポート」の強みで差異化を図り、高価格帯でも受講生がつくモデルを確立しました。

競合との比較では、サービス品質・顧客満足度を維持する組織設計が今後の継続的成功の鍵となるでしょう。

失敗事例や課題

英語コーチングという形態は、受講生へのコンサルタントのコミットが欠かせないため、コンサルタントの採用・育成・マネジメントが特に重要です。急成長とともにスタッフを急増させると、サービス品質のバラつきが生じやすくなり、クレームや学習成果の低下につながるリスクがあります。

過去には、スタッフ育成が追いつかず受講生からの評価が下がりかけたことや、競合サービスが増えたため受講者獲得が難しくなった時期もあったと推察されます。しかしPROGRITは、顧客の声を継続的に収集し、コンサルタントの教育や評価制度を改善することで問題を乗り越えたと言われています。

ここにも、ソリッドベンチャーの特徴である“失敗しても潰れない収益モデルをベースに、改善を進める” 姿勢が見られます。

PROGRITに見るソリッドベンチャーの本質

本稿の要点を整理すると、株式会社プログリットはソリッドベンチャーとして次のような強みを持っています。

  1. 地道な自己資金経営から始まり、必要時にのみ外部資金を活用
    • 創業期は代表個人のノウハウと限られたリソースで短期集中の英語コーチングモデルを確立。
    • 事業成長が見込める段階で個人投資家などからの投資を得て、拠点拡大やオンラインサービスに投資。
  2. コアビジネスの収益が安定しやすい構造
    • 数十万円の短期集中コースという高単価モデルで、しっかりと利益を確保。
    • 顧客の学習成果とブランドイメージを両立させることで継続的な受講者獲得を実現。
  3. ノウハウを生かした新規事業開発と多角化
    • 「シャドテン」などのサブスク型サービスや法人向け研修プログラムで裾野を拡大。
    • アプリ開発やAIの導入など、テクノロジー活用にも注力し、サービス品質と効率を向上。
  4. 失敗からの学習と組織力強化
    • スタッフ急増や競合増加などの課題はあったが、顧客の声を基に改善を重ねてサービス満足度を維持。
    • キャッシュ面で無理をしない経営モデルゆえに、大きなトラブル時も致命傷になりにくい。

英語コーチング市場では、一時的なブームで終わるリスクが否定できません。低価格帯のオンライン英会話や、対面主体の老舗スクールなど、多様な競合が存在します。

しかしPROGRITがソリッドベンチャーとしての基盤(高単価コースによる安定利益、外部資金への過度な依存回避、顧客成果にコミットした差別化)を固め続ける限り、その成長はまだ続く可能性が高いと考えられます。

ビジネスパーソンにとって英語力は一度身に付けるとキャリア上のアセットとなり、さらに英語学習を続けたいというニーズが派生することもしばしば。そうした顧客のライフサイクル全体に入り込み、プロダクトラインを拡充していくという戦略は、ソリッドベンチャー的な長期目線とマッチします。

ソリッドベンチャーの本質は、無茶なリスクを負わずに地道なキャッシュフローを作り、その余力で新規事業や投資を行う成長モデルを維持することです。

PROGRITは、短期間コミットコースという高単価・高効果のビジネスを軸にしながら、そこから得た利益と外部調達をバランスよく活用し、シャドテンや法人研修プログラムなど多方面へ展開しています。この堅実かつアグレッシブな二面性が、同社をソリッドベンチャーとして評価できる最も大きな理由といえるでしょう。