2024.09.20
rayout株式会社
rayout株式会社の吉田さんに会社や事業の「過去・現在・未来」についてインタビューしました!
売上半減の危機を乗り越えるソリッドベンチャーの作り方
ー今日はrayout吉田さんお越しいただいて、会社のこれまで、これからについていろいろと聞きたいと思っています。よろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介お願いします。
rayout株式会社 吉田 壮汰 氏(以下、吉田さん):
rayout吉田です。石川県出身で、田舎で9人兄弟の4番目というすごい特殊な環境で育ちました。大学は名古屋の大学で、そこから新卒で上京し、出版社の営業がファーストキャリアです。2016~2017年くらいに転職という形で動画版クラウドソーシングのスタートアップへ参画しました。事業の立ち上げを経験させてもらいました。2019年にいまのrayoutを立ち上げた、というキャリアです。
rayoutは、創業からコミュニケーションデザインを主軸に事業展開をしていました。要はクリエイティブ作りますよ、という事業です。クリエイティブを作れる会社は制作会社や広告代理店などが思い浮かぶと思うんですが、実は広告以外のニーズもあったりします。例えば、自社や商品のことを知ってもらうためのクリエイティブです。
求職者の採用目的もそうです。当たり前なんですが、クライアントが接する段階ごとにステークホルダーが存在していて、ハンズオンバリューがめちゃくちゃ大事なことに気づきました。言語化ってのは大切であることに着目し、課題からしっかりと吸い上げて制作物までワンストップで納品することをやっております。このコミュニケーションデザイン事業は300社ぐらいのクライアントさんとやり取りしています。
既存の安定した事業に加えて、新規事業をピボットしながら、いまは制作進行を簡単にするツール「MiLKBOX(ミルクボックス)」を絶賛伸ばし中という感じです。
ーありがとうございます。会社の過去の話から深掘りしたいと思ってます。そもそもrayout社を立ち上げた理由って何かあるんですか?
吉田さん: 正直、誰かの指示で働くというのが性に合わなかったのはあります笑。なので、いつかは自分でやりたいことをやろうかなとぼんやり考えていました。
前職のベンチャーで役員として事業管掌をしていたんですが、業績が悪くなり整理解雇しなきゃいけなくなったことがありました。そのときにふと、自分のせいで整理解雇するような状況になりたいと思ったんです。自分ではなくて誰かの意思決定で、整理解雇のやりとりをしなきゃいけない経験をして、経営の意思決定すべてを全部自分の責任で持ちたいなって。
あとは、いま会社のミッションで「その人らしさを価値にできる社会を実現する」というのを掲げてます。これからAIで仕事が変わっていくなかで、どういう仕事に価値をつけようかと思ったときに、その人らしさに価値をつけた方が世の中面白くなるんじゃないかと。人それぞれの個性にフォーカスしていきたい、そういう事業をやりたい、と思い起業をしました。
ー起業して最初のお客さんってどうやって獲得していたんですか?
吉田さん:営業につきますね。自分で営業してました。昔の知り合いに紹介してもらったり、展示会に出展するのではなく、現地に行って名刺交換などしてみたり。最初は泥臭い営業をしてました。
最初はあのパンフレット制作を自分で手を動かして制作なんかもしてました。保育園に「パンフレットを作りませんか?と電話をかけたこともありました。
ー役員も含め皆さんで?
吉田さん:いえ、最初は僕1人でやってました。
ーいまは組織全体で何名くらいなんですか?
吉田さん:いまは30名弱です。
ーチームの集め方ってどうされたんですか?
吉田さん:最初はリファーラルでした。「一緒にスタートアップやらない?」って感じで。前職とか、前々職とか、大学の同窓などでほとんどなし崩し的に口説いてました。そういうのが最初の10名ぐらいまでです。
なんだかんだ定期的に連絡を取るということをし続けてました。大学の時から起業をぼんやり考えていたんで、「世界変えたいな!良くしたいな!もしなんかやるときは一緒にやろう!」と伏線を巻いてたんです笑。だからそれを口実に「最近どうなの?」とちょくちょく電話をしていました。
ーいま30名弱ぐらいの組織で既存事業をしっかりと回しながら新規事業もやっていると思うんですが、新規事業をやろうと思ったタイミングやきっかけは何かあるんですか?
吉田さん:創業してからずっと考えていました。創業直後は自分プラス2〜3人のキャッシュを作ろうと大体3ヶ月〜4ヶ月は地道に積み上げました。そこから新規事業としてのプロダクトのプロトタイプ作りをはじめました。実際にプロダクトが出来たのは2期目だったんですがずっとチャレンジはしていました。
その間、苦難もあって、僕らの1期目で仲間を6〜7名に増やしたんです。そして、2期目2020年4月のスタートと同時に4〜5名が入社したんですが、そのタイミングで新型コロナウイルスがありました‥‥。
当時の僕らのクライアントさんの案件は撮影系が多く、クライアントさんも「コロナってなんぞや。よくわからないから1回、販管費を全部ストップします」と。ダイレクトに業績にインパクトしまして、半分ぐらい案件が飛んでしまいました。
正直、資金ショートがリアルに見え始めたタイミングがありました。
全社員をあつめて打開策を考え、全社的な方向性を決めました。プロダクトに必要なお金を無理くりでも稼ごう、と。本当はちょっとかっこつけたりしたかったんですが、状況が状況だったので。なりふり構わずでした。結果的に全社で団結できて嬉しかったです。
ーそのときは社員全員営業みたいな感じで?
吉田さん:エンジニアが2名いました。エンジニアが僕らの希望で、エンジニア以外がお金を作り、エンジニアの2名がプロダクトを作る。当時はそんな役割でがむしゃらに仕事をしてました。
ー先日、資金調達のリリースを出されてましたが、既存事業で業績もよく30名の社員さんを養っていけるくらいの事業体が出来上がっている状態で外部のエクイティ調達って必要だったんですか?
吉田さん:個人的に、新しいプロダクトを自社でやるときに構想段階からエクイティ調達をするというのは違うと思っていました。しっかりと販売やグロースできるメンバーが大企業の1部署ぐらいの予算と人がいる状態を作っておきたかったというのがあります。
その状況ができて、プロダクトもある程度「いけるな」と思ったら、資金は絶対必要。なので、そういうタイミングで資金調達しようと考えていました。
ー創業時からエクイティ調達はずっと考えていた?
吉田さん:はい。ずっと頭にありました。共感されるかわかんないんですが、僕たちのような事業ををやっていると、やっぱり儲かる方が気持ちよくなったりしちゃうんです。また、目の前でお金が稼げることを続けていくと新しいことへのチャレンジに腰が重くなると思っていました。
既存事業で発注をいただいているクライアントさんに対して期待値以上の価値は提供をしています。ただ、それがこれまでにない新しい価値なのか?と問われるとそうではないと思っています。
僕は起業家として世の中に新しい価値を投じていきたいですし、大きなチャレンジは自社だけではできないことも何となく感じていました。
なので、どこかのタイミングで、第三者的なところから調達し、ゆくゆくは上場を目指していこう、と。それがいろんな人への社会貢献になるとも思っています。
結果的にエクイティファイナンスをして本当に良かったなと思ってます。
実は、一発目のプロダクトは閉じてしまったんです。マーケットインというよりはプロダクトアウトで作っていて、企業の課題をユーザーにコンペ形式で解決策を出してもらうような今でいうところのファンサイトのようなものでした。
やって気づいたのが、プロダクトアウトの事業をしようと思うと、大きな資金が必要になってくるということ。そのための手段としてIPOが必要だと思いました。
会社の利益で1億を作ろうと思うと結構大変じゃないですか?であれば、外部から期待をいただくことでエクイティの調達ができるならした方がいい、と。
ー1回目の事業撤退したときはどんな心境でしたか?
吉田さん:それまでは「商い」をずっとやってました。物を売るという単純な商売です。一方で、1つ目の事業はプラットフォームビジネスで、プロダクトを作って自然に広がって大きくなっていくものです。
一時期はX(Twitter)でトレンドに入ってすごい盛り上がってサーバーがパンクしたときをリアルタイムで体験したときは、めちゃくちゃ感動しました。自分たちの作った概念が、世の中をちょっと動かしてるっていう自己効力感がすごかった。
とはいえプラットフォームビジネスなので、いろんな課題や問題がありました。振り返ってもポジティブな撤退・ピボットだったと思っています。
ショックだったか?というとそうでもなかったです。勉強になったなっていうのと、経験ってめっちゃ大事だと改めて感じました。さらに、こんな経験をもっとしたいという純粋な気持ちが大きかったです。
ーこれからのrayoutが目指す先を教えてください。
吉田さん:自社のカルチャーを存続させられる既存事業を、力強く太くしていきたいと思っています。象徴的だったのが、SaaSバブルが弾けたタイミングをリアルにみていたこと。市況感ひとつで築いてきたカルチャーが揺らいでしまう、言ってしまえば生殺与奪の権利を剥奪されるみたいなことになりたくはないなと。
何かがあったときに余裕を持って避難できる事業があるといいと思ってますし、その事業自体がキャッシュカウであり、育成機関にしていきたいと考えています。
既存事業から生まれたビジネスプロデューサーが新しい事業を伸ばしていく、そんなエコシステムが作れていけたらいいなと。もちろん「MiLKBOX」はこれからどう大きくしていくのかという楽しいフェーズなので、目下そこを楽しみながら注力していきます。
ーまたいろいろと聞かせてください!ありがとうございました!
■スピーカー
rayout株式会社:https://rayout-inc.com/
代表取締役 吉田壮汰 氏:https://x.com/yoshida_rayout
制作進行をライトにスピーディーに「MiLKBOX(ミルクボックス)」:https://milkbox-video.com/
■モデレーター
エンジェルラウンド株式会社 大越匠:https://x.com/TakumiOokoshi