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ソリッドベンチャーを作る?事業アイデアから実行までのステップ例
公開日:2024.11.15
更新日:2025.3.29
筆者:エンジェルラウンド株式会社 大越匠

ソリッドベンチャーとは、初期から安定的な収益を確保しながら、無理のないペースで事業を拡大していくビジネススタイルです。投資家のプレッシャーや一気呵成の大博打よりも、足元のキャッシュフローを重視して柔軟に挑戦を重ねるため、着実な成長を望む起業家や企業にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。本記事では、そのようなソリッドベンチャーを目指すための「事業アイデアの見つけ方から実際の実行フェーズまで」を具体的なステップとして解説します。
ハイライト
- 安定収益を見込めるマーケット選定と収益モデル設計が肝心。
- 小さく始め、顧客の声を吸い上げながらリスクを低減してブラッシュアップ。
- 堅実なキャッシュフローと柔軟なパートナー戦略で長期的な事業基盤を構築。
アイデア発掘と市場調査が成功の出発点
課題を見つけるアプローチ
ソリッドベンチャーを作るには、「どの課題を解決するか」という明確なテーマ設定が極めて重要です。大まかに以下の方法でアイデアを生み出すケースが多いでしょう。
- 自身の経験・不便から着想:自分が当事者だからこそリアルなニーズを掴みやすい。
- 周囲へのヒアリング:家族や友人、業界人が抱える課題を調べると、解決ニーズが大きい分野が見えてくる。
- 統計情報や業界レポートの読み込み:公的機関のデータを通じて、今後伸びる分野や課題の大きい産業をリサーチする。
ニーズと市場規模を確認する
どんなに斬新なアイデアでも、市場規模が小さければスケールしにくく、リターンが限られる可能性があります。逆に市場が大きくとも、差別化しにくい場合はレッドオーシャンで苦戦するかもしれません。ソリッドベンチャーの場合、“早期収益化が狙えそうなセグメント”を最優先するのがポイントです。
- 既存調査や競合比較で本当に需要があるかをチェック。
- 顧客インタビューなどでリアルなフィードバックを得て、収益化に至る道筋を描く。
事例:ナイル社
ナイル社はクライアントのSEO課題に対応することで集客支援のノウハウを蓄積。その知見を活かし、自社メディア「Applive」などを立ち上げました。このように、まずは“手堅い顧客課題”を解決しながら事業を水平展開するのが、ソリッドベンチャーの典型例と言えます。
ビジネスモデルを固める──早期に収益を作る仕組み
明確な収益構造を描く
ソリッドベンチャーは「黒字化までの時間をいかに短くするか」が肝要です。以下のようなモデルが比較的安定しやすいとされています。
- サブスク型(定額モデル)
- 毎月の課金が読めるためキャッシュフローが安定しやすい。
- 毎月の課金が読めるためキャッシュフローが安定しやすい。
- 受託/コンサル型
- 受注ベースで売上が立つので、初期から利益を確保しやすい。
- 受注ベースで売上が立つので、初期から利益を確保しやすい。
- 広告収益型
- 集客力があれば広告掲載で早期からマネタイズできるが、流入確保がカギ。
ターゲット顧客への低コストアプローチ
大規模なマーケティング予算を一気に投下するのはリスキーです。初期段階は人的ネットワークやSNS、パートナー連携を駆使し、低コストで顧客獲得を目指します。ボードルア社などは、創業者同士のコネクションをフル活用して顧客を得ながら、徐々に新サービスに広げた成功例があります。
ビジネス計画書の作成
投資家を巻き込むか否かに関わらず、事業計画書を作ることで目標と戦略を可視化できます。
- 初年度の売上・利益予測
- マーケティング方法と予算
- 採用計画や組織体制
- リスクシナリオと対応策
計画書があれば、経営判断の精度が上がり、チームの合意形成もスムーズになります。
実行フェーズ──小さく始めて検証と改善を繰り返す
プロトタイプやベータ版で小回り検証
いきなり大きく投資するのではなく、まずは小規模テストを実施してユーザーフィードバックを得るのがセオリーです。たとえば以下のようなステップを踏むとリスクを低く抑えられます。
- 試作品を知人・業界関係者に試してもらう
- ベータ版リリースで有料導入を促してみる
顧客が何に支払う意欲を持つのか、ターゲット層はどこが一番満足度が高いか、といったリアルなデータを収集しつつ、サービスをブラッシュアップしていくことが大切です。
顧客サポートとリピート率の追求
ソリッドベンチャーは長期的に利益を積み上げるので、初期顧客の満足度が重要。カスタマーサポートを整えたり、ユーザーコミュニティを作ったりして、顧客ロイヤルティを高めていきましょう。
- 課題や不満点に迅速に対応し、信頼関係を築く
- 改善要望を次の開発サイクルに活かす
パートナー活用とコア業務への集中
少数精鋭で動くソリッドベンチャーでは、どうしても全領域を社内でカバーするのは難しい場合があります。
- 外部パートナーや業務委託を使って、開発・デザイン・営業などを補完
- コア事業のノウハウ蓄積や顧客との接点強化に集中することで、さらなる拡大を狙う
他社事例から学ぶソリッド戦略の実践
DONUTS社──受託とプロダクト開発の“二刀流”
当初は受託開発でキャッシュを得ながら、ジョブカンなど自社プロダクトを並行して立ち上げ、大きな成長を果たしました。こちらは「確実に稼げる領域」を抑えつつ、“いずれ高収益を生むプロダクト”に投資するというソリッドベンチャーらしい動きと言えます。
レバレジーズ社──1つの成功領域を起点に横展開
IT人材紹介で利益を蓄えたあと、医療・介護など異なる分野にサービスを広げることで年商1,000億超を達成。単一事業だけに頼らず、顧客ネットワークとノウハウを最大限に活かすのがソリッドな発想です。
安定と成長を両立する要点まとめ
ここまで見てきたように、ソリッドベンチャーを作るためには以下の流れが肝となります。
- 課題と市場規模の確認:地味でも需要が確実にある分野をリサーチ
- 明確な収益モデルの設定:早期に売上が立つ形を作り、キャッシュフローを固める
- 小規模テスト→改善の反復:顧客のフィードバックを受け止めながら段階的に製品・サービスをブラッシュアップ
- 要所でパートナー活用:少数精鋭での内部リソースを大切にしつつ、足りない部分は外部委託など柔軟に対応
- 堅実な拡大プラン:既存顧客を深耕し、新規分野へ横展開するアプローチを丁寧に繰り返す
“長く続くビジネス”を目指すために
ソリッドベンチャーの発想は、「まず足場を固め、安定収益を得られるビジネス構造を作り、そのうえで長期的に拡張していく」というものです。一発逆転や急激なスケールを狙うスタートアップとは異なるため、地道な試行錯誤が続くかもしれません。
しかし、その地道さこそが“毎月しっかりと黒字を生む力”を培い、リーマンショックのような不況にも強いビジネスを築き上げるのです。
- 着実に顧客を獲得し、現場の声を反映
- 安定したキャッシュフローを基盤に新規事業へ投資
- 継続的な改善サイクルで、確実にサービス品質を底上げ
初めての起業や、スタートアップ的なリスクに耐えきれない経営環境でも、このやり方なら自分たちのペースを守りつつ堅調に成長できます。ソリッドベンチャーという選択肢は、華々しさや目を引くエグジットこそ少ないかもしれませんが、長く社会に根づくビジネスを築くにはうってつけです。
どうやって勝機を見いだし、どの規模で検証し、どうやって安定を盤石なものにしていくか——地に足をつけて、このステップを踏んでいけば、あなたのビジネスもまた“ソリッド”な土台を手にすることでしょう。積み重ねるのがソリッドベンチャーの強みといえるでしょう。