- #ソリッドベンチャー
新たな挑戦と安定を両立する起業モデルがソリッドベンチャーの魅力
公開日:2024.11.15
更新日:2025.1.7
筆者:エンジェルラウンド株式会社 大越匠

ハイライト
- 安定した収益基盤を活かしつつ、新しい事業にも挑戦できる堅実なモデル
- 初期からキャッシュフローを確保することでリスクを抑え、精神的な負荷を軽減
- 収益性と自立性を両立し、着実な成長を目指す現実的なビジネスアプローチ
「急拡大を狙うスタートアップか、堅実な中小企業か」と二択に迫られがちな起業シーンにおいて、ソリッドベンチャーは第三の選択肢として注目を集めています。これは、早期から安定した収益を得つつ、継続的に新事業へ挑戦するビジネスモデルです。大規模資金調達に依存せず、自分たちのペースで経営の舵を取れるのが大きな特徴といえるでしょう。本記事では、ソリッドベンチャーの定義や特徴から、そのメリット、さらには具体的事例までを深掘りしていきます。
ソリッドベンチャーの本質と特徴
スタートアップとの違い
スタートアップは、外部投資家からの資金をもとに短期間で急成長を目指し、IPOやM&Aなどの大型EXITを狙います。一方、ソリッドベンチャーは安定収益の確保を基盤としながら、必要に応じて新事業を模索していくアプローチが基本です。市場シェアや革新性よりも、まずはキャッシュフローと持続可能性を重視する点が特徴です。
安定と挑戦のバランス
ソリッドベンチャーは、もともとのビジネスや受託事業などで得られる “キャッシュカウ” があり、そこから新規事業に投資できるため、大きな赤字を抱え込むリスクを最小化できます。したがって、既存事業がしっかりしている間に次の可能性を探りつつ、事業失敗のダメージを抑える戦略が取りやすくなるわけです。
事例:FPパートナー社
ファイナンシャルプランニングを基盤にしたストックモデルを早期から構築し、安定キャッシュを生み出すことで、新たな金融サービスやマーケティング強化に投資してきました。これにより、短期的な資金難に陥るリスクを低減しながら、長期的な成長に向けて複数の事業を展開している例が挙げられます。
早期収益化のメリット――精神的余裕とリスク低減
資金調達への依存度を下げる
スタートアップと比べ、ソリッドベンチャーは初期段階から売上が見込めるため、投資家や金融機関への依存度を相対的に下げられます。エクイティを過度に渡さないで済むことから、経営方針の自由度を保ちやすい点も見逃せません。
精神的負担の軽減
キャッシュフローに余裕があると、マーケットの変動や短期的な売上の落ち込みに対しても落ち着いて対応できます。何より、メンタル面でのストレスが軽くなるのは大きなポイントでしょう。持続的な経営を目指すうえで、経営者がパフォーマンスを落とさない環境づくりは不可欠です。
ビジネスを“試せる”余裕
一定の収益があれば、新規顧客に提案するサービスや商品を試行錯誤する余力が生まれます。開発に時間や資金を投下しても、基盤の売上があるため、大失敗になりにくいことがソリッドベンチャーの大きな強みです。
たとえば、受託やコンサルティングで安定収入を得ながら、そこから得られる顧客ネットワークを用いて、新たなSaaSサービスをテスト導入してみる――こうした動きが可能となります。
自分のペースで成長をデザインする
自由度の高さ
ソリッドベンチャーでは、急成長を追わないぶん経営者の裁量が広くなります。短期的な利益に固執せずとも、既存事業を回しながら次の展開を模索できるため、事業の組み立てに余裕が生まれます。
投資家への説得力
安定収益がある会社は、追加で資金調達を行う際も「既存事業が生むキャッシュフロー」という強みをアピールできます。投資家サイドから見てもリスクが相対的に低く、リターンの確度が高い案件として認識される可能性が高いです。
事例:Genova社
医療機関向けのウェブ制作・広告支援をメインに収益を積み上げたうえで、周辺サービス(予約管理、医療メディアなど)へ段階的に拡張。持続的な売上が担保されていたからこそ、新サービスの開発・運営に投資しやすかったといわれています。
これは「キャッシュカウを持ちつつ、新規事業へ拡張」というソリッドベンチャー的アプローチが功を奏した例といえます。
ソリッドベンチャーを選択する意味――なぜ今注目されるのか
初めての起業に適したモデル
先行きの読めない経済環境の中、いきなり大きなリスクを取るのはハードルが高いものです。ソリッドベンチャーなら、収益確保という安全網があるため、初めての起業でも比較的安心感を持って事業を拡大できます。
社会変化への柔軟な対応
コロナ禍や働き方改革など、社会や産業構造が変化するスピードがますます速まっています。柔軟に業態を変えたり、新規事業を試すには、安定収益を持ちながら動くほうが有利です。リスクを限定しつつ、外部の変化に合わせたPivot(方向転換)もできるという点で、ソリッドベンチャーは機動力と安定感を兼ね備えています。
堅実な道を選ぶ起業家が増える理由
ソリッドベンチャーは「短期的に爆発を狙うスタートアップ」とは一線を画しますが、現実的に着実な成果を狙う経営手法として、徐々に存在感を高めています。
企業が競合に圧倒されずとも、自分なりの得意分野や顧客基盤を生かして確実に利益を生み出し、そこから次のステージへ進む――このサイクルこそが、安定と成長を同時に手にする秘訣と言えるでしょう。
先を見据えた経営のために
ソリッドベンチャーの核となる考え方は、「まず稼ぐ仕組みを確立し、それを足がかりに新しい挑戦をする」というシンプルなロジックです。これによって、外部環境の波や資金難で簡単に挫折するリスクを下げつつ、長期的なビジョンを描くことが可能となります。
もしあなたが、「高いリスクは避けつつも、しっかり成長していきたい」と考えているなら、ソリッドベンチャーという選択肢は非常に有効です。キャッシュフローを重視したビジネスモデルを組み立て、柔軟に試行錯誤を繰り返していけば、自分のペースで事業を拡大できる可能性が広がるでしょう。