- #ソリッドベンチャー
ソリッドベンチャーを簡単に説明すると?
2024.09.09
筆者:エンジェルラウンド株式会社 大越匠
- ソリッドベンチャー最大の特徴は、初期段階から収益を上げ、それを基に新規事業を模索する点
- ソリッドベンチャーは、スタートアップと異なり、リスクを低減しながら安定した成長を追求
- ソリッドベンチャーの立ち上げ方
ソリッドベンチャーとは、創業初期段階から収益を実現する事業を構築しそれをキャッシュエンジンとして新事業を持続的に模索する企業のことです。スタートアップと対比されることが多いですが、持続可能な成長と新規事業や資本政策のリスク分散を重視する点で独自の魅力を持ちます。本記事では、ソリッドベンチャーとは何か、スタートアップとの違い、成功事例、立ち上げ方まで、まとめてみました。ソリッドベンチャーを理解することで、より現実的で成功確率の高いビジネスモデルを構築するための参考になればうれしいです。
ソリッドベンチャーとは何か?
詳しくはこのページでまとめていますが、簡単に整理すると
ソリッドベンチャーの定義
- 創業初期から収益を実現する事業を構築し、それをキャッシュエンジンとして新事業を模索するベンチャー。
キャッシュ・カウ事業の重要性
- 早期に収益を上げる事業(例: 受託開発、コンサル、代理店、人材関連)を持ち、事業運営の安定性を確保する。
スタートアップとの対比
- ソリッドベンチャーは、資金調達に依存せず、資本政策を多様に持つことで持続的な事業運営を目指す。
リスク管理
- 収益を生む事業があることで、新規事業が失敗しても会社清算のリスクを低減できる。
長期的成長と資金調達
- 長期的視点での成長を重視し、必要なタイミングでエクイティ・ファイナンスも選択可能。
つまり、ソリッドベンチャーは、初期段階から収益を上げる事業を持つことで事業運営の安定性を確保し、新規事業を模索するベンチャーです。スタートアップとは異なり、資金調達に依存せず、収益事業をキャッシュエンジンとしてリスクを低減しながら成長を目指します。必要に応じてエクイティ・ファイナンスも選択し、長期的な成長を追求する企業のことです。
ソリッドベンチャーとスタートアップの違い
ソリッドベンチャーとスタートアップは、いずれも新しいビジネスを立ち上げる企業ですが、アプローチや目的が異なります。
スタートアップは革新的なアイデアや技術をもとに短期間で急成長を目指し、リスクを取りながらベンチャーキャピタルなどから資金調達を行います。
一方、ソリッドベンチャーは初期段階から収益を重視し、持続可能なビジネスモデルを構築して長期的な成長を目指します。スタートアップに比べ、ソリッドベンチャーはリスクを抑えたアプローチを取ることで安定した成長を追求します。
このように、両者はビジネスの成長戦略とリスク管理の観点で異なるアプローチを持っています。
ソリッドベンチャーの主要な要素は?
ソリッドベンチャーの主要な要素は以下の点にまとめられます。
早期の収益事業の構築
- 創業初期から収益を生み出すキャッシュ・カウ事業を持つことで、事業の安定性を確保する。
多様な収益源の確保
- 受託開発やコンサル、代理店、人材関連など、すぐに売上が立つ事業を展開する。
リスク管理の強化
- 新規事業が失敗しても、既存の収益事業があるため、会社清算のリスクを大幅に低減できる。
長期的視点での成長追求
- 短期的な利益だけでなく、長期的な成長を見据えて事業を進めることができる。
柔軟な資金調達戦略
- 必要に応じて、エクイティ・ファイナンスを選択できる柔軟な資金調達戦略を持つ。
ソリッドベンチャーの立ち上げ方
1. キャッシュ・カウ事業の選定と立ち上げ
業界選定: 比較的早期に収益を上げやすい分野を選び、リスクを最小化します。たとえば、受託開発、コンサルティング、代理店業務、人材関連ビジネスなど。
- 事例: SHIFT社
創業当初、品質管理のサービスを提供し、安定した収益を確保。その後、M&Aを通じてIT業界全体の支援プラットフォームを目指す新規事業を展開しています。まずは堅実な品質管理事業を軸に成長を進めたことで、他の新規事業への展開が可能になりました。
2. マーケットリサーチと顧客ニーズの把握
市場分析: 競合や市場のニーズを調査し、最適なサービスや製品を提供します。
- 事例: ナイル社
SEOコンサルティングで堅実に事業を成長させた後、そのアセットを活かして「おトクにマイカー 定額カルモくん」という新サービスを提供。既存顧客のニーズを反映させ、新規事業で成功を収めました。
3. 既存事業からの新規事業展開
事業拡張のタイミング: キャッシュ・カウ事業が安定してから、新規事業に挑戦します。
- 事例: TWOSTONE&Sons社
受託開発で安定した収益を確保した後、エンジニアマッチングプラットフォームやメディア事業に進出。IPO後も、新規事業の展開を続けています。安定収益に支えられた堅実な成長モデルを維持しつつ、次のステップに進む良い例です。
4. 長期的な成長戦略の策定
成長のロードマップ: 短期と長期の目標を設定し、それに基づいた計画を作成します。
- 事例: オロ社
受託開発で成長し、社内向けに作成した業務管理ツールを外部にも提供する形でERP事業を展開。既存事業での経験と資産を基盤に、徐々に事業を広げ、IPOを実現しました。堅実な成長を目指す戦略が特徴です。
5. 資金調達と財務管理
収益の再投資と資金調達: キャッシュ・カウ事業の利益を新規事業に投資し、必要に応じてエクイティ・ファイナンスやデット・ファイナンスを活用。
- 事例: DONUTS社
SI事業で収益を確保しながら、新規で「ジョブカン勤怠管理」や「ミクチャ」など複数のサービスを展開。これにより、売上高200億円を超える未上場ソリッドベンチャーへと成長しました。既存リソースを使った新規事業展開と財務の堅実な管理が成功要因です。
これらの具体的なステップと事例を参考に、まず安定した収益基盤を構築し、その後に新規事業や長期的成長を追求するのがソリッドベンチャーの基本的な立ち上げ方法です。各事例からもわかるように、堅実な成長基盤を作りながら、柔軟に市場ニーズやビジネス機会に対応することが成功の鍵です。