- #スタートアップ
- #スモールビジネス
- #ソリッドベンチャー
スモールビジネスとスタートアップの間にある『ソリッド』な選択肢
2024.10.22
筆者:エンジェルラウンド株式会社 大越匠
ハイライト
- スモールビジネスは安定収益重視、スタートアップは急成長を追求する。
- ソリッドベンチャーは安定基盤と新規挑戦の両立を目指すモデル。
- 段階的成長とリスク分散がソリッドベンチャー成功の鍵となる。
スモールビジネスとスタートアップの特徴
スモールビジネスとスタートアップはそれぞれの特徴があり、成長や経営のアプローチが大きく異なります。
スモールビジネスは一般的に安定した収益を生み出し、リスクを避けながら地元や特定のコミュニティに密着した活動を行います。そのため、多くのオーナーにとっての主な目標は生活の基盤を確立することや、ビジネスの継続性を保つことです。
一方、スタートアップは大きな市場をターゲットにし、急成長を狙った事業展開を行います。技術革新やユニークなアイディアを基に資金調達を行い、競争優位性を獲得して市場におけるポジションを確立しようとします。
このような違いは、スモールビジネスとスタートアップのどちらを選ぶべきかという点においても、起業家のリスク耐性や成長への意欲によって判断されることが多いです。そんな中、これらの二極化した選択肢の間に「ソリッドベンチャー」と呼ばれる新しい選択肢があります。
ソリッドベンチャーは、スモールビジネスの安定性とスタートアップの革新性を兼ね備えたバランス型のビジネスモデルです。安定した収益基盤を築きながらも、新たな成長の機会を模索するアプローチは、これからの起業家にとっての選択肢になるかもしれません。
ソリッドベンチャーという選択肢の魅力
ソリッドベンチャーは、リスクを抑えながらも成長を志向するという特徴を持っています。
このモデルの魅力は、安定したキャッシュフローを確保した状態で、新しいビジネスチャンスを模索できる点にあります。たとえば、オロという会社の例に考えると、最初はウェブ制作を中心に事業をスタートさせ、その後の安定した収益を基盤に、自社の新規サービス『ZAC』の開発に乗り出しました。
このように、最初の段階で安定収益を得ることで、余裕を持ちながら新たなビジネスに挑戦できる環境を作ることができます。これは、特に初めて起業する場合において精神的な安心感をもたらすと同時に、事業失敗のリスクを最小限に抑える効果があります。
また、ソリッドベンチャーは、ニッチな市場や複数の競合が適度に存在する市場でも成功を収めやすいという特性を持ちます。企業の組織力やブランディング、採用戦略など、アイディアの独自性以上に組織運営の巧みさが成功のカギとなることが多いです。
こうした特性が、安定と挑戦をバランスよく取り入れたい起業家にとってメリットになる理由の一つです。
どのようにしてソリッドベンチャーを育てるか
ソリッドベンチャーを育てるためには、既存事業からの収益を活用しつつ、新規事業の探索を段階的に進めることが求められます。
このプロセスは、まず安定的なキャッシュフローを確保し、その上で顧客からのフィードバックを活用し、次なるビジネスチャンスを見極めることから始まります。例えば、あるIT企業がシステム開発の受託を行いながら、その過程で顧客が抱える共通の課題に気づき、そこで得たインサイトを元に新たなプロダクトを開発するといったアプローチが考えられます。
このように、既存事業から得た知見やリソースをフル活用し、新たな市場に段階的に進出していくことが、ソリッドベンチャーの成功に不可欠です。また、リスクを分散するために、M&Aも有効な手段となることがあります。これにより、必要な技術や人材を一挙に取り込むことができ、新規事業の立ち上げをスピーディに行うことが可能になります。SHIFTという会社は既存の安定したビジネスをベースにしながらも、M&Aを活用して新たな事業領域に挑戦することで、成長を加速させている事例は、難易度は圧倒的に高くなりますが、その有効性を物語っています。
最適なビジネスモデルを選ぶために
ソリッドベンチャーは、スモールビジネスとスタートアップの間に位置する、リスクと成長のバランスを重視したビジネスモデルです。
スモールビジネスの安定性と、スタートアップの革新性を兼ね備えることで、初めて起業する方でも安心して成長の道を歩むことができます。安定した収益基盤を築きながら新規事業に挑戦するこのモデルは、いくつかの事例が示すように、現代の市場環境において非常に有効な戦略です。
新たな挑戦を行うための余裕を持ちながら、顧客のニーズに対応し、持続的にビジネスを発展させることがソリッドベンチャーの成功の鍵です。これからのビジネスの成長を考える上で、ソリッドベンチャーという選択肢は、多くの起業家にとって重要な指針となるでしょう。